7月
2009

西夏王国への旅 その8

以前、塤(Xun)というつち笛をご紹介したことがあったと思います。
西安等の地域で見られる塤(Xun)は、まるで一輪ざしのような形をしておりますが、寧夏の塤(Xun)には牛頭型、牛角型、エンドウマメ型等の形があるそうです。

泥哇嗚

左が西安の塤(Xun)で右が寧夏の塤(Xun)です。
これは何型なのでしょうね。牛角やエンドウマメではないことは確かなので、牛頭ですか?
西夏王の墓の前の売店で急いで買ったので(団体行動のつらいところ)、きちんと説明をきけなかった~
店主が急いで渡してくれた説明書に従って以下、お話しますと…

寧夏の塤(Xun)は、地元では「泥哇嗚(niwawu)」と呼ばれているそうです。
泥でできた「わぁ」とか「ぼぅ~」とかの音がするもの、という意味です。
哇も嗚も擬音語ですので意味はありません。

わたくしは現在、2つの塤(Xun)しか所有していないので、いろいろ比べられませんが、西安より、寧夏の方が吹きやすい感じがします。大きさにもよるのかもしれませんが。
演奏スタイルはこんな感じですかね。

泥哇嗚

一体、泥の「ぼぅ~」とする楽器「泥哇嗚」とはどんな音を出すのよって気になりますか?
演奏を聴いてみる場合は以下<泥哇嗚の音だっ!>をクリックしてください
<泥哇嗚の音だっ!>
演奏曲目は著作権切れで問題ないと思います。
わたくしの実演家としての権利はですね…まぁこんなもの売れないでしょうし、自由にご使用ください。

演奏の都合上、移調しました。
しかも最低音が綺麗に出なくて、半音上がってますね(絶対音感の持ち主の方、ごめんなさい。クラクラしないでね)

7月
2009

西夏王国への旅 その7

集合時間まであとわずかだというのに、我々は博物館へまっしぐら。
ホテルと博物館は目と鼻の先、間に合うだろう~~~

寧夏博物館

この博物館、ひろくて、いろいろな文物があるのに、「ただ」なんですよ~
社会主義を標榜しているんだから、このくらい気前良くないとね!

寧夏は市の中心街を離れると、何と言いますか、経済的に恵まれていない地域ですし、衛生的に遅れていますし、そんなところのガソリンスタンド等の公共トイレを借りたら、それはもうすぐさま吐きたくなるようなものすごい光景なので(写真に撮っておけばよかったかしら?)、そういうものを見た後だと、この博物館は同じ地域に建っているとは思えないほど綺麗なのです。トイレも当然、日本の百貨店のように綺麗。

中の文物は写真が撮れないので、お見せする写真がないのが残念です。
印象に残ったのが木製の活版印刷を使用した西夏文字の仏典が収蔵されています。
漢字というのはアルファベットと構造が違うので、木版印刷のほうが便利なため、長い間アジアでは活版が普及しなかったわけですが、西夏文字というのはそうでもなかったのでしょうか…
ものすごく保存がよいです。

実は日本に西夏文字の活版印刷に使用する字母が存在するそうです。
もちろん、この時代のものが日本で発掘されたわけではなく、西夏文字の解読で知られる京都大学の西田龍夫博士の求めに応じて、中西印刷株式会社が作成したのだそうで、多分、世界でも珍しいのではないでしょうか。

7月
2009

西夏王国への旅 その6

イスラム教のモスクの次は仏教寺院です。

こちらは海宝塔という仏教建造物です。俗称北塔です。
最初はいつ立てられたのかは不明ですが、伝説では16国時代には改修工事があったと伝えられているらしいです。

海宝塔

塔の下には「心臓の悪い方や子どもは上に行かないでください」との注意書きがありましたので、昔は塔の上へ登ることができたのだと思いますが現在は扉に鍵がかかっており上がることができないようです。
残念。

7月
2009

西夏王国への旅 その5

3日目午後は、宗教にどっぷりです。

まずはモスクへ。

南観清真寺

銀川で一般公開されているモスクはこの南観清真寺だけです。
木曜日以外は10元の入場切符を買えば、誰でも入れます。
もっとも毎日のお祈りをしている場所には入れませんが、外から見ることができますし、写真を撮っても大丈夫です。

南観清真寺の礼拝

そして、資料室には歴史の紹介や著名人の訪問時の写真等が展示されています。

メディナのモスクの模型

メッカとメディナのモスクの模型がありました。
これはモハメッドの墓所のモスクと言っていたような気がするので、メディナのモスクだと思います(違っていたらごめんなさい)
しかし、西夏王陵の博物館もそうだったけど、模型作るのが好きですね。

カトリック教会でも聖書やロザリオを売る専門の売店があるのと同じように、清真寺(モスク)の隣りには、宗教関係物を売る売店があります。
コーランの解説書を買って帰りました(アラビア文字と中国語の対照になっているものです)
欲しかった書籍(120元)と全く内容が同じ内容の書籍が38元と表示されていたので、「これとそれはどう違うのか」と聞いたら、「海賊版」だと目で語りかけられました。
「(コピーだから、)紙質と製本が悪いため、内容が同じでも分厚いのですよ」とのこと。
「ちなみに55元のもあるわよ」とのお返事(聞いてないって…)。
つまり、紙の質やコピーの精度が少しよい海賊版なのでしょう。
いや、わかるよ、120元も払えない貧乏な人がたくさんいるから、必要なんだってこと。
だけどね、こういうものはお金を持っている人が買えない人にタダであげるべきなのでは…

7月
2009

西夏王国への旅 その4

3日目は市内をお買いもの。
クコの実を買ったり、お菓子を買ったり、ヨーグルトを飲んだりしました。

のどが渇いたねなどと喋りながら道を歩いていると、S弁護士が前を指さして
「あ~セブンイレブンだ!」と叫びました。

セブンイレブン?

え~?こんな田舎(いちおう市だけど)にもあるんだなぁと思って、よーく見ると…

この映像は縮小しているのでよくわからないと思いますが
表示は「SIX&EIGHT」で、数字は「7」ではなく「8」なんですよ~

本当に6時開店で8時閉店なんだろうけど…
あの店構えは、まさに「不正競争」ですなぁ…

7月
2009

西夏王国への旅 その3

次は砂坡頭という砂漠と黄河の観光地であります。

いや~これは砂湖の砂と違って、赤いのです。
ここは北区と南区に分かれていて、北区は砂漠とラクダを楽しむところ。

沙坡頭のラクダ

そして南区は黄河のアトラクションで楽しむところです。
砂の斜面を駆け降りてふもとの黄河まで行きました(もちろん、リフトに乗るのが便利。また砂すべり用のソリで行ってもよし)。

沙坡頭全景

そして、黄河をモーターボートに乗って数分行くと、なんと、万里の長城が!!!
本当にこんな西の果てまで伸びているのですね。

右上が万里の長城

右上に見える四角いギザギザが万里の長城です。
そしてモーターボートを降りると、岸辺にはこんなものが立てかけてありました。
さて、これは何でしょう?

これなんだ

これは、中国語で「羊皮筏子」といいます。はい、もう漢字を見ればわかりますね。
答えは羊の皮を風船みたいにして空気を入れて、これを木の枠の下に縛り付けてイカダにするんですね。
ちなみに、聞くところによると、機械を使って空気を入れたのではなく、船頭さんたちが自分の息で膨らませたそうですよ。
え?これで、もとの場所まで戻るってか?
ひゃぁぁぁ

羊の皮のイカダ

それが意外と怖くないのですよ。
のんびり、ゆったり~
昔の人は本当にこれに乗って荷物を運んだのでしょう。

7月
2009

西夏王国への旅 その2

2日目午前
西夏陵、即ち歴代の西夏王国の王族の霊園を見学しました。

西夏王陵墓3号陵

公開されているのは3号陵だけですが、人脈を利用して未公開のお墓を内緒で見てしまった人もいる…(わたくしではありません)
「東洋のピラミッド」と称して紹介されましたが、う~ん、これがピラミッドかなぁという感じ。

そばにある博物館には、この3号陵の主、即ち初代皇帝李元昊の彫像がありました。

西夏王元呉半身像
こわそう…
確かに統一して独立宣言を成し遂げるだけのすごい人は、いろいろやってきたのでしょうから、顔に現れるのでしょうか(^^;

また、西夏王国は独自の文字を使用しておりました。
出土品の左に縦書きされている文字が西夏文字です。

西夏文字

読めにゃい…
漢字に似ておりますが、構造は少し複雑です。
例えば、不熱 + 不冷 = 温 とかいうような規則性はあるそうですが、いまいち、見ただけでは分からない文字ですね。

ところで、時間がなくて博物館をじっくり見ることができなかったのですが(ここが団体行動のつらいところ)、人になぜ羽根がある!?

西夏文字

これは、迦陵頻伽(かりょうびんがkalavinka)というのだそうで、上半身が人、下半身が鳥の仏教における想像上の生物で極楽浄土に住んでいるのだとか。
踊りと歌が上手いのだそうな。

7月
2009

西夏王国への旅 その1

まずは、中国4A級の砂湖風景区へ。
砂湖とは、なんぞや。
つまり、大きな湖と砂漠のある美しい景色を楽しむところであります。

砂湖全景

湖をこんなお船に乗って対岸の砂漠へお出かけ。

有里船で眠る

風が気持ちいい~

ラクダのお尻

船を降りたら、ラクダさんのお尻が…
砂漠の下からリフトのある上までの短い距離を観光客を乗せて歩いてくれる有償サービスなのです。
自分で上まで歩いていける距離なので誰も乗らないせいか、数分なのに30元もする。
ねぎっても20元にしかならない…
かわいいのでつい乗ってしまいましたが、寧夏のラクダに乗るなら、翌日に行った「砂坡頭」の北区のほうが、ラクダがたくさんいるし、砂も広いのでキャラバンサライの気分を味わえます。

しかし、ラクダにもいろんな顔のラクダがおりまして、この子の顔が一番アニメ顔なので私たち一行の人気の的でした。
アニメ顔のラクダさん

ラクダに乗ったのは初めてでしたが、外から見る分にはラクダなんてたいして大きいとは思いませんが、乗ってみると意外と地上から高いところにいるような気がしました。
わたくしの乗ったラクダさんは、機嫌が悪かったのか、「お座り!」とおじさんが何度言っても知らん顔で座らず、わたくしをなかなか下ろしてくれませんでした(^^;

やれやれ、と思っていたら、C弁護士が、自分がエジプトに行った時はもっとひどい目にあったぞ、との話をしてくださいました。
値切ってラクダに乗ったのはいいが、ラクダが勝手に走りだして、人気のないところまで走って行ってしまい、約束の時間をかなりオーバーして戻ってきた頃には、お尻は痛いし、結局倍のお金を払ったとか。もし、自分みたいな年配男性ではなく、かよわい女の子だったら、ラクダが勝手に砂漠の真ん中まで走って行ってしまったら怖いだろうなぁとのことでした。
ラクダは結構、気分屋なのでしょうか…おとなしそうな顔しているのにねぇ。

7月
2009

西夏王国への旅(序)

先週の金曜日から昨日日曜日まで、弁護士数名にお供して寧夏回族自治区の銀川市におりました。
中国大陸の西北部の町で、歴史に詳しい方なら、西夏王国のあった場所といえば、お分かりになるでしょう。

西夏(せいか、1038年 – 1227年)は、タングートの首長李元昊が現在の中国西北部(甘粛省・寧夏回族自治区)に建国した王朝。首都は興慶(現在の銀川)。モンゴル帝国のチンギス・ハーンによって滅ぼされた。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

仕事はちょっとしかせずに、土日は完全にこれに乗じた遊びです(^^;
観光記録はぼちぼちアップしたいと思います。

7月
2009

大生活

先日、「大生活」というドラマをみました。
高層ビルのマンションに住んで、食べたい物が食べられて、したいことは何でもできる、そんな生活をしてみたい、そういう願望を一度も持ったことがない人というのはいるのでしょうか。

そして、誰でも程度の差はあれ、「生きることは苦しい」を考えたことがあると思います。
わたくしも心を相当病んでいるときは、毎日、消えてなくなりたいとか、この窓から飛んだら楽になれるのかなぁとか、思っていました。

このドラマのテーマは「生まれてきたからには、生きるしかない」です。
舞台は成都、主人公は40代のユーモアあふれるお人よし男性、柳東です。
勤めていた自動車修理工場が倒産、街頭で靴や果物を売って生活をつなぎ、その後、街頭の清掃員になります。
はっきりいって貧乏です。
また損な役回りと知りながら、他人を助けたりするお人よしです。
彼の周囲にはいろいろな人が登場します。

遺棄児童で路上生活の後、柳東に養ってもらう小学生の魚児ちゃん。
悪い奴じゃないんだけど、たびたび警察沙汰を起こしてしまう弟、柳西。
口先ばかりのでたらめで、人を騙したり騙されたりして訳のわからない商売をしている友人、金東民。
田舎から歌手になることを夢見て成都まで出てきたけど、お金をだまし取られて、テレビドラマのちょい役を必死に得るために助監督と寝るけど、結局、役は自分に回ってこなくて、絶望から自殺を図る張紫雲。でも、柳東に何度も助けられて、最終的には歌手デビューするんですけどね。
お金持ちだけれども、ガンで余命いくばくもない高明。高明は子どもに恵まれずその財産を自分の実の子に譲れないのが心残りで、自分の未婚の妻に知的障害者の実の兄と関係を持ってくれと頼むのですが、わたくし的にはあほかと思わざるを得ない…
もし自分がそんなことを頼まれたら、ぶん殴りますね。
「そんなことで悩む暇があったら、孤児院とか、学校に寄付しろ、孤児10人と養子縁組しろ!」と言います。
これだけお金があったら、わたくしなら教育関連事業、特に農村の女児教育に役立ててくれと遺書を残します。

そして、お金持ちの高明と貧乏でお人よしの柳東の間で揺れる洪雨。彼女は結局、高明の理不尽な依頼を引き受けて知的障害者の高明の兄と関係をもつことを承諾するのですが、高明の元恋人で秘書の梁麗の罠にかけられ、高明の運転手の子どもを身ごもってしまい、高明に冷たくされます。

中国はものすごい格差社会だと思います。
最下層にいる人が上層の生活を望む気持ち、よくわかります。
日本社会に比べて何でもありの幅が広い中国ですから、手段を選ばずにのしあがる人は、現実の社会でも多いのだと思います。
きれい事だけでは、なかなかのしあがれないので、皆涙を流すことになるわけですが…

このドラマのよいところは、貧乏だけど何とかなる、と笑えるところ。
決していい暮らししていないのに、主人公にかかわった人たちが幸せ感を得られるところでしょうか。
実際、他人助けは自分助けになる…中国人がよくいうセリフです。

昔、植木等さんの歌で「仕事のないやつぁ俺んとこへ来い! 俺もないけど心配すんな」という歌があったそうですが(夫に昔教えてもらいました)、まさにそんな歌が似合うドラマかなと思います。

本筋からずれますが、このドラマのセリフを聴くことは標準語の勉強には不利です。成都の庶民の話し方は、少し変わっています。
もちろん、上海とか広東とか、全く別の言語というほどの隔たりはありませんが、すごく特徴的な訛りと声調の変化がありますので…