8月
2009

今回の来日(?)予定

2日夜から16日夜まで日本です。
日本のどこかは、今回も東から西へ西から東へと大移動です。

予定外だったのは、昨日の朝、義兄が亡くなりましたので3日は東京で告別式に出ます。

新年に会った時に自分で癌だと言っていたので、びっくりというわけではありませんが…
歳をとると一人一人欠けていくものなんだなと…

わたくしと夫の間にはちょっと大きな歳の差がある上に夫は末っ子なので、義兄とか義姉といっても、自分と同世代ではなく自分の親や叔父叔母世代という感じなのですが、いくら退職後世代といってもちょっと早かったかなと。

6月
2009

台湾著作権法逐条解説の修正

改正著作権法が2009年5月13日に公布施行されました。
逐条解説(原文)の執筆も徐々に開始されております。
本日、一応、条文及びとりあえずの解説の翻訳はすべてアップしました。
今後は、解説の充実化に伴う原文加筆に対応して、訳文も追加することになると思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
(昨日の「途中までアップしました」のお知らせは削除しました)

改正ポイントは以下のとおりです。

1. インターネット・サービス・プロバイダの定義の新設(改正法第3条第1項第19号)
2. インターネット・サービス・プロバイダに適用される第6章の1「民事免責事由の共通要件」(改正法第90条の4)
3. 各種インターネット・サービス・プロバイダは、そのユーザによる他人の著作権又は製版権侵害行為に対して、著作権法の所定の手続を遵守していた場合、損害賠償責任を負わない。(改正法第90条の5から第90条の8)
4. ホスティングサービスを提供するプロバイダが回復措置を行う際、遵守しなければならない事項。(改正法第90条の9)
5. インターネット・サービス・プロバイダが規定に基づき著作権又は製版権を侵害したとされる情報を削除した場合、そのユーザに対して賠償責任を負わない。(改正法第90条の10)
6. 事実と異なる通知又は回復通知を提出して他人に損害を与えた場合、これにより生じた損害について損害賠償責任を負わなければならない。(改正法第90条の11)
7. 主務官庁に授権して、法規命令により前述の新設・改正条文に関する各実施細則を制定する。(改正法第90条の12)

1月
2009

人民法院案例選

1年前のお正月に書いた原稿が「人民法院案例選」最高人民法院中国応用法学研究所編、人民法院出版社に収録されていたようで、先日、最高人民法院応用法学研究所に勤める姐弟子が送ってきてくださいました。
人民法院案例選

内容は日本の判例とは何ぞやから始まって、判例のリサーチ方法の説明なので、日本の法学部生なら誰でも知ってるよね、ってな他愛もない文章なのですが、できる限り中国人のWHYに答えようと試みたという点で工夫したつもりです。
「日本は成文法の国で、判例法の国じゃないのに、なぜ、判例に拘束力がある(ように見える)のよ?」なんていう素朴な疑問に答えてみようかなという意図で書きました。
しかし、これも深くつきつめれば、それこそ本が一冊書けるような大問題なので、わたくしのようなヒヨッコが先人の研究のエッセンスを引用して簡単に説明するのは大変でした。

中国にも判例によく似た「案例」なるものが存在し、便宜上「判例」と訳しますが、厳格に訳そうとすれば困りますね。
日本のような小さな国で、しかも、人と異なった行動をとることにひどく恐れる日本人社会では、似たような事件に似たような判断が下され続けて慣習法が形成されるのに何ら不思議なことはありませんが、これが中国ともなると都市と田舎、北と南、西部と沿岸部、漢民族とXX族で考えが異なるなんて当たり前ですから、日本のような判例が形成されるということは理解しがたいのかもしれません。

わたくしはこれまで日本の法学部出身者にとって当たり前すぎることを中国語で書く機会をいただくたびに、中国語のできる賢い弁護士がこんなにたくさんいるのに、なぜ自分に話をふってくれるのかよくわかりませんでした。もちろん、わたくしはエリート学者、公務員、弁護士と違って比較的書く時間があるし、大層な報酬を請求したりしないし、自分のポリシーに反する内容でなければ喜んで原稿を書くからというのも大きな理由でしょうが、最近思うに、たぶん、通常の日本人又は中国人は、日本か中国のどちらかだけで学士、修士、博士を連続して取得する人が多いのに対して、わたくしは普通に日本の法学部で日本の法律を勉強して、修士課程は日本で中国の法律を勉強して、最終的に博士課程は中国で中国人の先生や学生相手に、中国法の土俵で勝負しても勝ち目がないので、日本法はこうなっているんですということを外国法と対比させながら説明してきたため、中国人は日本のここが、日本人は中国のここが変だと思うツボみたいなもんが、なんとなく分かるからではないかという気もします。
ある意味、奇怪な経歴(短所)は、最大の強み(長所)でもあるということなのでしょうか。

ところで、この解説文の著者名を「荻原有里」とミスプリントされてしまいました。
申し訳ないと思った姐弟子は、人民法院の便せんを使用して、荻原有里は萩原有里の誤りですとの証明書を添えてくださいました。
中国人は「萩(はぎ)」という漢字を一般的には知りません。100%「荻(おぎ)」だと勘違いします。日本人の知人にですら「おぎわらさん」と呼ばれることがあるので「ありさんと呼んでくれ」と言っています。
人によってはどっちだったか自信がなくなるのであえて名前で呼んでくれる人もいます。
有里は「ゆり」ではなく「あり」と読まなければならない厄介な名前なので、困りものなのですが。
知人の中にはわたくしを「ゆり」または「ゆうり」だと思っている人が少なからずいます。
珍しい例では「ゆか」さんだと勘違いしたまま、本気でそう呼びかけ続けてくださった人もいるのですが、きっと前の彼女が「有加」さんとか「有香」さんだったのでしょうね。
パスポートがARIなので今さら、自己の都合で読み変えられないしなぁ。
もっとも自分の名前がある程度認識されれば、誰も校正ミスをしないわけで、そうなるまで頑張り続けるしかないのでしょうね~(笑)

1月
2009

北京へ戻ります

本日、成田から上海経由で北京にもどります。

この切符、1日を無駄に費やすのでつらい。
空の上で読書するしかないかな。
7時過ぎにはホテルを出て、10時半の飛行機に乗り、北京には夕方にしか着きません(はぁ)

デジカメデータがないので、お正月分の日記は、後で書くことになりそうです。

1月
2009

新年快楽!

新年快楽!

(中国語で「あけましておめでとう」的な表現です)

相変わらず夫は寝るのが早いので、毎年、一人でNHKの「ゆく年くる年」を見ることとなります。

無線LANにつながったパソコンを前において、適当にいろいろやりながら、適当にテレビを聴きながら、年をこしました。

今年最初のあいさつがオンラインチャットだというのは、お宅っぽすぎますよね(^^;

昨年はいろんな人に励まされ、助けられていろいろなことが経験できました。

皆様から受けたご恩に感謝し、自分を含めた皆様が今年一年ハッピーに過ごせるように神様にお祈りしながら、眠りに就きたいと思います。

感謝天主。

11月
2008

図書館への寄贈

出版者は本を発行すると、最良かつ完全な状態の出版物を法定の部数分だけ国立国会図書館に納入しなければならないそうです(国立国会図書館法第24条、第25条参照)

日本だと国立国会図書館に納入又は寄贈することになります。
納入する本は必ずしも商業出版物に限られないため、自費出版とかだと個人が寄贈することもありますが、商業出版だと日本の場合、ほとんど事務的に取次から送ることになっているようです。個人の寄贈だと「受け取りました。ありがとうございました」というお礼状みたいなものが送られてくるようです(あくまで未確認情報なのでどういうものなのかは、ご自身でお調べください)。

わたくしの訳書は取次が国立国会図書館に送ったものと思われますので、わたくしの手元に何ら書簡はございません。

で、台湾はどうかといえば…
台湾図書館法によれば、台湾で発行された作品は国家図書館に寄贈しなければならないとのことです。

先般、わたくしが翻訳した「台湾著作権法逐条解説」は台湾で発行されたものではないため、原則として寄贈する必要はありませんが、先日、原作者の章先生が国家図書館で会議があったので、国家図書館の館長に自ら寄贈してきたそうです。

そしたら、お礼状をいただきました。
章先生のご許可をいただいたので公開しちゃいます(台湾の公文書なので章先生のご許可さえいただければ、わたくしが翻訳してネットで公開しても大丈夫)
国家図書館お礼状

謹啓
このたびご寄贈いただいた書籍を拝領いたしました。
貴殿より賜った書籍は登録を経てすみやかに目録を作成し、公衆の閲覧に供するために収蔵いたしました。
このようなご高誼に預かりましたことにつき心より感謝の意を表すため、ここに謹んでお礼申し上げます。
謹白
章忠信専門員 殿
国家図書館

というようなことが書いてあるのですが、本当はものすごい文語調で雅な表現であるため、わたくしごときには美しい日本の古典文学のように翻訳することができません(^^;
雰囲気的には、かなり仰々しいと感じる方もいるかもしれません…
そういう雰囲気、伝えられないなぁ…残念。

10月
2008

日本著作権法中国語翻訳版

タイトルの通り、日本著作権法の中国語翻訳版を別のブログで立ち上げてみました。
http://jp.commentaries.asia/

実は院生時代にほぼ完成していたのですが、どこかに掲載してもらう当てもなくなってしまい、何分、綺麗な中国語を自由自在に書ける訳ではないので、妹弟子に文法チェックをしてもらったものの、妹弟子は日本語も日本法も知らないので、適切なアドバイスをくれたとは言い難く、公開できるレベルじゃないのではないかと思い、ためらっておりました。

今回、少しずつ公開していこうとするものは院生時代に作成したものを台湾バージョンに改ためたものです。
といっても、単純に漢字を簡体字から正体字(いわゆる繁体字)に改めたわけではありません。
同じ中国語でも、台湾法と中国大陸の法律は異なりますから、どっちの背景に合わせて訳語を選択するかは多少、ずれがあります。

綺麗ではない(場合によっては超怪文かもしれない、というか日本法の表現が日本人にとっても怪文だけど)中国語を公開しちゃって、価値があるのかとも思いましたが、あの「台湾著作権法逐条解説」の原作者の章先生が時間を見つけて、英語版を参照しながらぼちぼち綺麗な法律条文になるよう追ってアドバイスするから、できた分からどんどんアップしていけとのお言葉をいただいたので、ついにやってしまいました。

でもね、ここが翻訳のつらいところなんですが、いっぱい時間を費やしても、どんなにいろいろ調べて自分の知識を総動員しても、翻訳はある意味、レベルを問わなければ誰でもできるので(しかも文学と異なって条文の表現は限られる)報われない労働なんですわ。
一応、著作権なんてものが発生しているハズですが、場合によっては勝手に引用しておいても出所を表示してもらえないかもね。
翻訳者の地位はヨーロッパみたく高くないですから。
だからといって、権利放棄はしていませんので、場合によっては法的手段を採りますが…(これまで訴状を書いたことはありませんが、警告状は出したことがあります。)

必要な方が適切に引用してくれれば幸いだと思っています。
この先、これを逐条解説にして、末尾に関連判例も載せちゃったりするのが夢ですね(死ぬまでに完成するのかね?)

こうなんじゃないの、とかって誤字や誤訳やもっと綺麗な表現を教えてくれると嬉しい。
でも、いまだかつて面識のない人がメールで指摘してくれたことはないのよね~
そういう自分も普通は指摘してあげないけど(意地悪なのではなく、組織や会社のウェブはせっかく教えてあげても担当者に伝わらないし、個人ウェブはいろいろ意見を言っている割には、皆匿名なので連絡がつかないだけなのですが。)

ちなみに著作権情報センターでは日本著作権法の英文がウェブで公開されていますね。
紙のものであれば他の外国語への翻訳版もあるはずですが、改正が早いし、誰も割に合わない翻訳などなさらないのが現状のようです。

10月
2008

岡山喜久屋書店にて

先日発行された「台湾著作権法逐条解説」ですが、初版発行部数が少ないため、岡山にはもしかしたら無いだろうくらいに思っていたのですが、岡山ビブレA館の喜久屋書店で発見しました。

そもそも、棚の一段ほとんどが経済産業調査会の本だというのは結構珍しく、ここならあるんじゃないかな、と目星をつけてわざわざ見に行ったのです(^^;

見てどうするって感じですが…先日、名古屋の丸善にはなかったよと叔父が言っていたので、この目で本当に市場に流通してるのかなぁと見てみたくなったのです。

ちゃんとありましたよん。
台湾著作権法逐条解説

9月
2008

国慶節休暇第1日

本日から日本に一時帰国いたします。

10月6日に北京に戻ります。

なにぶん、こういう性格ですから、パソコンをいつも所持し常にLAN回線を探しまわるのですが、コンパクトなパソコンを持っていないし、ケータイでウェブをみることに慣れていないので、頻繁に更新はできないかもしれません。

残念だわ。

8月
2008

祝 台湾著作権法逐条解説の出版!

このたび、「台湾著作権法逐条解説」という翻訳本を財産法人経済産業調査会(経産省を母体とする財団法人です)から出版することができました。

この版元の「知的財産実務シリーズ」というのは知財関係のお仕事をしていらっしゃる方の中にはご存じの方もあるかもしれません。

自分のオリジナル著書ではないけど、訳者として名前があるってのはいいですね。
でも、まだ実感わかなくて他人の名前を見ているような感じです。

翻訳というのは割に合わないとよく言われます。
どんなにがんばっても原作を越えられないし、誤訳を除き、絶対無二の正解というものが存在しないため、絶対にああだこうだとケチがつく宿命だからです。

確かにそうかもしれません。
この本の翻訳もこだわりすぎた訳語があって、きっと別の人から見たらいろいろ気になる表現があると思います。

ネットでやった翻訳はいつでも自在に修正できますが、紙は版元も社会的責任を負っているし、簡単に修正はききません。だからこそ、ある一定の信用というものが生まれるともいえます。

紙の形で世に出して、より多くの人にある一定の信用ある情報として提供できる機会を得たことに感謝しております。

原作者と訳者だけでは、書籍の出版は叶いません。
多くの方々の手を経て、一冊の書籍が出来上がっています。
有形の作業はもとより、わたくしを励ましてくれたという無形の参与もあります。

あとがきでは紙面の都合上、主要な方のお名前と謝辞をさらっと書いておりますが、本当は言葉で言い表せないくらいの感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとう~~~~~~~~~って世界中に叫びたいです。
買ってくれたらもっと嬉しいです(^^)
(学術書でコスト回収するのって大変なんですよ)
台湾著作権法逐条解説
「台湾著作権法逐条解説」章忠信著 萩原有里翻訳 経済産業調査会 定価2625円(税込)
9月17日、18日くらいには大手の書店ならたぶん見つかるでしょう。
政府刊行物サービスセンターでは必ず取り扱われます。
確実で手っ取り早いのは経済産業調査会から通販でお買い求めになることかもしれません。
わたくしの子ども、章先生の孫である本書をあなたの本棚に座らせて、可愛がってくださると本当にうれしいです。

http://books.chosakai.or.jp/books/index.html