6月
2009

仕事のダブルスタンダード

先日、ある日本人があるベテランの中国人弁護士さんのある行動について、「長く日本に居たのに、たいぶ日本的感覚がなくなってきたのか、ひやひやするような事してくれるんですよね」とおっしゃいました。

それを聞いたわたくしとしては、あぁ、きっとわたくしも日本企業に勤めたら、「常識がない」「いい加減」「失礼」なことを知らず知らずのうちにしでかしてしまうかもなぁと、ヒヤッとしたと同時に、そうはいっても、ここは中国で、生活のほとんどを中国人と共にしているので、対外的にだけ「日本基準」を維持するのは疲れるというのを通り越して、気が狂うのだけど…と思わなくもありません。
いちおう、今は対外的には日本基準で、内部では日本基準と中国基準を使い分けているつもりではいるのですが。

一般的な日本人のよいところをあげれば、
真面目で細かい。
仕事の基準が本当に厳しい。
いつも礼儀正しい。
信用・誠実を大切にする。
誰に対してもわりと公平。
チームワークがよい。

ちょっと乱暴な例えをすると、日本基準は120%の努力と成果を四方八方から強いられ、無言の圧力も含めていっぱいプレッシャーがかかるのだけど、中国基準だと98%でオッケーっていう感じですかね。日本人なら「2%もできなかった部分が残ってしまった」と青ざめるところですが、中国的には「ほとんど完成、何とか間に合った~」の安堵感のほうが大きい。最悪2%のクオリティの差によって仕事に多少支障がでたとして、ボスが恥をかき部下を叱ったとしても、お互い翌日にはけろっと忘れている…
外資企業で仕事をしているわけではないので、日本スタンダードを知らない人に日本スタンダードを押し付けることはできず(そんな権限もない)、その中で自分だけ日本スタンダードで生きていたら、気が狂うよ、きっと。
だから、わたくしも何があっても自分が最高責任者でもない限り、他人のために「ひやひや」してあげたりしない…
本当に100%完璧にできることなんてほとんどないわけですから、心身のバランスを保って長く仕事を続けるには「ほどよい加減」も必要なのではないかと思ったりもします。

多分、これがわたくしが中国人でもなく、中国人の親族がいるわけでもないのに長く中国で仕事をし続けられる理由だったりもするのではないでしょうか。