4月
2009

個人情報保護に対する意識

先日、笛子の先生が笛の運指表をその場で手書きしてわたくしにくださいました。
その際、先生は自分のファイルから適当に要らない印刷済の紙の裏を使用されたのですが、その紙の裏は楽譜でした(何の曲か不明、自分が作曲したものではないと思われる)。
平日はレコード会社にお勤めだと聞いているので、持ち歩いている使用済印刷紙が楽譜だというのは納得です。
自分の場合、持ち歩いている要らない紙の裏には何が印刷されているのかといえば、法律の条文やニュースレターの下書き、もしくは自分の校正原稿といったところでしょうか(弁護士のリーガルオピニオンが印刷されたものの裏を再度印刷使用して校正などをすることもありますが、外に持ち出すことはありません。これらは当然後で裁断します。)
うちの旦那さんの場合、何かメモをしているとその裏はだいたい学校の事務的なお知らせのような紙だったりします。

さて、前置きはこれくらいにして、何がいいたいかと申しますと、経費節約のために、このいらなくなった印刷済の紙の裏を再度利用する場合、当然のことながら、注意が必要だと思うのです。

今、日本では個人情報保護に関してはかなり敏感ですが、中国の場合、一部の人は敏感ですが全体としてそれほど敏感ではないという気がいたします。

なぜなら…

<その1>
学生時代、聴講生として取得した一般教養単位を入学後に認めてくれると聞いていたのに、昨年自分が取得したはずの単位が成績表に反映されておらず、話が違うよと教務課に問い合わせに行ったところ、「報告書に載っていなかったので仕方がない。昨年から聴講生としての身分があって、本当に試験もきちんと受けていて合格点だったというのなら、担当の先生の所に行って、もう一度、報告書をもらってきてちょうだい」とおっしゃる。
そこで担当の先生の所にいったところ、昨年の試験の結果などが書かれた報告書類を出してきて、「これで証明できると思うから、これを教務課にもっていきなさい」と親切におっしゃってくださったのはいいが…そこには他人の試験点数やその他の情報がきっちり書き込まれていた(^^;
きっと、わたくしの試験点数とかも、どこかで誰かが見ているだろう。

<その2>
やはり学生時代、研究所で先生方と話していて、何のメモだったか忘れたけれども、先生から要らない紙の裏に書かれたメモをいただいて、家に帰ってから裏を見たら別の先生の昇級審査関係書類だったことがある…わたくしは某先生のいろいろな情報を知ってしまった(^^;

<その3>
一時期、某法律事務所を短期間だけ手伝ったときのこと(いまの所属事務所ではない)。
お客様が振込先口座名の英語名を教えてくださいとおっしゃり、若い職員がプリントアウトしたものを後でわたくしに持ってきました。
お客様がお帰りになる寸前の出来事で、わたくしはよく見ずにそのまま、さっと手渡したところ、「げ、裏に何か書いてある…」ということを発見。
あわてて、返していただき読んでみたところ…一般的な法律規定について書かれているような部分だったものの、報告書の一部だという感じがして血の気が引いた…
お客様は「僕、中国語ほとんど分からないから平気ですよ~」なんて穏やかにおっっしゃってくださいましたが、その笑顔の裏で呆れていたに違いません。
その若い従業員は後に、ある職員の人事関係書類を紛失したため、「お前、法律事務所のスタッフに向いてないよ」と弁護士に叱られ、その他もろもろの理由でクビになりました。

日本ですとちょっと考えられない。
米国なら訴訟沙汰?

以前、某日本企業の中国子会社設立をお手伝いした時に、当然、董事長、総経理等を担当される方の個人情報書類を見ることになるわけですが、書類には各人にパスワードがかかっており、通常の書類はすべて関係者にCCしていたのに、その書類だけは取りまとめ担当者と弁護士だけのやりとりで、パスワードもわたくしには送信されませんでした。もっとも、わたくしは実際に弁護士のお手伝いをして書類を作成・確認するので、当然すべての情報を知ることになるわけですが、日本企業は敏感ですね。

さて、中国にはまだ「個人情報法保護法」という特別な法律はありません。
個々の法律において、情報保護に必要な規定が設けられている状態です。
法律は社会を映す鏡というか、環境に左右されるものだと思うんですよね。
将来、どんな立法が登場するのでしょうね。
タイトルを見て、法律速報を期待されていた方、いたらごめんなさい。