10月
2008

ロールモデルの不在を嘆くなかれ

駅で何気なく「妹たちへ」日経WOMAN編、日経ビジネス人文庫を買いました。

ビジネス社会で、男性にはあるのに女性には圧倒的に少ないもの―それはああなりたいと思うお手本(ロールモデル)です。
そこで、1998年に日経WOMAN創刊10周年記念として、迷える20代、30代の働く女性たちへ、今を輝くプロフェッショナルな女性先輩が自身の経験を踏まえてヒントやアドバイスを提供するという企画が、「妹たちへ」というリレーエッセイとしてスタートしたそうです。
現在の執筆者は経済評論家の勝間和代さん。
その連載スタートから7年分27人のエッセイが単行本として出版されたのが2005年、そして2008年8月に文庫化されました。

この文庫本を見ても、やはり彼女らは少し雲の上の人ばかりで、普通にその辺を歩いていそうなお手本ではないのですよね…つくづく、隣のお姉ちゃんみたいなお手本はその辺を歩いてはいないものだと感じます。

わたくしがああなりたいと思うお手本として、ごく身近にいる男性なら数人挙げることができます。
でも、やはり歩いてきた道が異なるので、今からそのまま真似るわけにはいかないのですよね。

同様に、若い頃のわたくしのように金も学歴もない普通の女子が、わたくしの生きてきた過程を今からそのまま真似ても、30代後半で同じような結果を引き出せるかどうか疑問です。
反対に、わたくしの20年分の努力をたったの1、2年で成し遂げ、わたくしと同様の結果を引き出せる人も大勢いると思います。

そこで、自分はこの先どうしたものかと常々思っていたのですが、今月の日経WOMANを見たら、答えらしきものにぶつかりました。

「価値観が多様化している時代。ロールモデルはひとりに絞り込む必要はありません。周囲の人たちの『いいな』と思える部分を複合して自分だけのロールモデル像を作ってみて」(日経WOMAN2008年10月号29頁、キャリアナビゲーター前川タカオさん)

それもそうだね…
身近な手本がその辺を歩いていない以上、自分で理想のお姉さまを作り上げるしかないのですね。

一昔前のように、こうすればああなるというような未来予想図は、終身雇用制度が崩壊した現在、男性でも描くのが難しそうな気がします。

夕方、修士時代の指導教官AA先生に電話をしたら、こんなことをおっしゃっておられました。
「師弟関係のあった人のその後を見てみると、自分のコピーみたいな人は全くいないね。面白いことにそれぞれ自分とはまったく違った方向で伸びていったものだから、自分はきちんとした評価をしてあげられないねぇ、そんな能力ないもの」

人が何かを習得するとき当然物まねから入るわけだけど、結局模倣品は模倣品であるように、良質な模倣品も多々あるけれど、実質的に本物以上になれないわけで、ロールモデルの不在を嘆くことは根本的に単なるいいわけかもねという気がしなくもなくなってきました。

明日から、素敵なお兄様、おじ様、お姉さま、おば様の良いとこどりをした理想のお姉さま像を作り上げてみましょうか。

2 thoughts on “ロールモデルの不在を嘆くなかれ

  1. みかんさん、こんにちは

    へぇ、反面教師って毛主席の造語だったんですか。
    初めて知りました(^^;なるほど。

    中国人の意識の根底に論語の「三人行必有我師」とかがあるのかなとも思いました。
    かつて、某弁護士さんにムカつきながら(失礼!)夜な夜な仕事をしていたとき、MSNを通じて中国人の先生がこの言葉を教えてくれました。

    子曰、
    「三人行、必有我師焉。
    択其善者而従之、其不善者而改之。」

    子曰はく、
    「三人行けば、必ず我が師有り。其の善なる者を択びて之に従ひ、其の善ならざる者にして之を改む。」と。

    わたくしも反面教師の自信はあります(^^)/

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