4月
2010

慣れたら終わり

知り合ったばかりの中国人に必ず聞かれる質問

「中国の生活には慣れた?」

話題を振るためのきかっけだと分かってはいるものの、「めんどくせぇ質問だ」と思うこともしばしばでした。
今まで「えぇ、まぁ」とか適当に言っていたのですが、最近は「いえ、全然」とわざと意地悪な返事をしてみたりします(おい)。
本当のところは、そりゃ、そろそろ10年目だもの、だいぶ、慣れてますよ。

しかしですね、最近思うのは、「慣れたらお終い」なんじゃないかと…
例えば車の運転を例に挙げると、初心者っていうのは危なっかしそうでいて、実は緊張感があるのでちゃんと運転します。
そろそろ慣れてきたかなってところで、大事な情報を見落として、大事故を起こしたりする。

外国に来たばかりの頃は何もかもがめずらしくて、文化の差に唖然としつつ、違いを楽しめますよね。
そして、研究分野を問わず「比較」を研究テーマにしている人は、両国に足を置いたままさまざまな角度から、物事を語れるような気がします。
何年か経って、どっちかにどっぷりつかってしまうと、何もかもが「当たり前」になってしまって、「あ」という気付きがない…
語学的な知識は増加している(と思いたい)にもかかわらず、面白いことが書けなくなる。

外国語は「習うより慣れろ」とよく言われるし、ある意味そのとおりなのですが、日常会話を楽しむための会話ではなく、ちゃんとした文章を書きたいのであれば、頭を使うべきだと思う。

最近のわたくしはといえば、最悪なことに、母語が外国語につられて、おかしな日中訳をしたりすることもある…
(もちろん時間があれば、原文を見ずに日本語だけを見てできるだけ自然な日本語に修正しなおしますが、時間がなければ、もう、そのまんま~)

今喋っている言語がどっちなのか、突然、分からなくなったことがある…
日本の空港や駅で思いっきり人にぶつかって、おもわず口にするセリフが「すみません」じゃなくて「対不起」だったりする…

あぁ、最悪。

慣れるんじゃない、と心に言い聞かせています。