昔に比べたら、男は男らしく、女は女らしくという固定概念はずいぶんなくなったのだろうと推測はできる…できるけど、やはり、今でもあると思う。
中国語で師匠のことを「師傅」(shifu)といいます。
(1)師匠.先生.親方.
(2)特殊な技能をもつ人に対する尊称.
【補足】知らない人への呼びかけにも用いる.
(3)〈俗〉(一般人に対する呼びかけ)先生.
小学館中日辞典第二版
弟子が先生や親方の奥様のことを何て呼ぶかと言いますと
「師母」(shimu)
わたくしも指導教官のお宅に電話するときはいつも奥様が出られるので、「師母、こんばんは、先生はいらっしゃいますか」と挨拶しておりました。
これ「師母」と対になる言葉があるかといいますと(つまり、女性教師の配偶者はどう呼べばいいの?)、これがないのです。
「師父」でいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、師父の意味は「師傅」と同じか、宗教指導者の敬称になってしまうのです…
(1)師傅
(2)僧•尼•道士に対する敬称.
小学館中日辞典第二版
昔は、そもそも師匠と言うものは「男」と相場が決まっていた…ってことなんでしょうかね。
今時は女性の研究者もいるけど、多いかと言われれば、分野によっては多くないよね…
ある法律の制定に貢献されたある著名な学者は、奥様の第一子出産時にもずっと研究所で研究をされていて、後で奥様に恨まれたとどっかの随筆に書かれておられましたが、これって、人間的に見ればどうなの?って感じですが、男性だと「立派だ」という美談になるから、ずるい。
女性が同じことしたら、どうかな。
わたくしは博士論文を書いていた時の終盤はよく部屋にこもって延々、パソコンと向き合っていたのだけれども、よく晩御飯を食べ忘れました。
適当に自分で晩御飯を作って先に食べていた夫が、ずっと部屋から出てこないわたくしを心配して「飯はちゃんと食った方がいいよ」と声をかけてくれるまで、没頭していて晩御飯の支度どころか自分が食べるのも忘れていた…
姑がいたら、わたくしなんて100回以上殺されているでしょう。
ところで、中国の3世紀半ば頃、清談(中国魏晋時代に流行した哲学的談論)を事とした7人(竹林七賢人)の中に阮咸(ゲンカン)という人がいます。とんでもない飲んだくれだったそうですが、琵琶がとても上手かったらしい。これは今の琵琶とはちょっと違って、月琴の首が長くなったみたいなやつでして、後に同じくリュート系の楽器の琵琶と区別するためにその楽器は「阮咸」と呼ばれるようになりました(奈良の正倉院の螺鈿の琵琶は有名ですが、「螺鈿紫檀阮咸(らでんしたんげんかん)」にも注目してあげてね。)
ちなみに今ですと東京国立博物館で特別展「皇室の名宝—日本美の華」(今月29日まで)で「螺鈿の阮咸」が出ていると思います…行きたかった…
で、この賢者、度を越した酒飲みだったそうで、竹林で酒飲んでリュート弾いて、政治を批判して暮らしていたわけです。
現代でも一昔前の学者の中には、酒飲んでから講義したっていう男性もいるらしいけど(その方が饒舌に喋れるからという言い訳)、女性だと「さすが、XX先生やるじゃん」とう話にはならないよね(^^;
(今時の大学では問題になると思うので、せいぜい、コーラかコーヒーでテンション上げてくださいってところでしょう)
ところで、女性が楽器の名手として名を残すなら、まず美人でないと難しいような気が…
女性が大酒食らって、ギターかきならして、政治の話…多分、許されない。
もっとも、わたくしは酒が全く飲めないし、政治の話で熱くなるタイプではないので、お酒飲んで醜態さらして、「女のくせに」って言われることはないから、関係ないといえばないけど、ちょい不公平な気もする。
わたくしが大学教員だったとして、夜遅くに学生が訪ねてきたと仮定しよう。
学生:「先生、夜遅く申し訳ないんですが、質問が…」
游鯉:「我醉欲眠君且去」
(いい加減な現代訳:オレ、酔っぱらっちゃった~眠いんだよね~キミ、悪いけど帰ってくんない?)
学生:「いや、ひとつだけ、ちょっとお聞きしたいだけで…」
游泳:「明朝有意抱琴來」
(明日の朝、その気があったら、琴でも持ってまた来てよ~)
-李白「山中對酌」より
と言ってみたかった…(^^;
一曲弾いてくんなきゃ、質問に答えてあげないもんね。