書店から買ってきた本を家に持ち帰らずに職場の机の上に置いておく場合、行方不明にならないようにハンコを押しておく癖がいつの間にかついておりました。
職場で参考にする日本語の書籍は全部、自腹なので、貸すのはいいけど、ちゃんと帰ってきてね、という意思表示の意味で、名前を書くのが面倒くさかったため、適当に作った安物の四角いハンコを代用していたのですが、これってよくよく考えてみると「蔵書印」の役割を果たしていたのですね。
蔵書印は、書物の所蔵を明らかにするために蔵書に捺した印影です。中国で早くに発生し、それが日本に伝わってきたとされています。しかし、日本最古の蔵書印は奈良時代にまで遡ることができますが、いつ、どのように伝わったかは明らかでありません。ともあれ、以来、江戸時代中期までは社寺や特権階層の者など、極めて限られた人々しか使用することはありませんでした。ところが書物が一般に流通するようになると、学者や文人の蔵書家が出現し、趣向を凝らした多種多様な蔵書印が考案され、用いられるようになりました。
国立国会図書館「蔵書印の世界」より
http://www.ndl.go.jp/zoshoin/zousyo/zousyoin.html
わたくしが所有する本は大学の先生方に比べたら多くはありませんが、やっぱり本は失くしたくないですからね。
印影は「有里之印」で、誰でも読める楷書体で書かれておりますので、何だか笑える印影です。
日本では使い道のなさそうな四角いガラス製の2センチ×2センチのハンコだったりします(財務角印くらいにはなる?)
しかし、世の中にはいろいろ凝った蔵書印があるのですね。
「XX文庫」とか「XX図書」、「XX蔵書」という文字とともに、楽譜なら楽器の絵が隣に彫ってあったり、草花の飾り文字で彫ってあったり…
凝った蔵書印を彫ってくれる業者さんていうのもネットで検索するといっぱいいるんですね。
今度、機会があれば中国語名、游鯉で蔵書印を制作してみたいものです。