9月
2008

恩返し

先般、日本の恩師の話を書きましたが、今回は中国の恩師の話。

23日、日本が祝日のせいか、あまり仕事が忙しくなく、5時頃に8月に入所したばかりの弁護士さんがわたくしのところに日本語を教えてほしいといらっしゃいました。

日本語学習期間がさほど長くないので、他の弁護さんと違ってやはり日本語を読むのは骨が折れるようで、空いた時間に意味の分からないところを質問にいらっしゃいます。

で、やはり正直に言えば、ある程度の域に達していない場合、教えるということは骨が折れるのです。
ここで、ふと思いまだしました…自分の恩師LS先生を。
自分が受けた恩は他人に還すのが人のつとめですよね。

確か初めてお会いしたのは2002年頃だったと思いますが、当時のわたくしの中国語レベルは相当低く、03年に彼の学生になった当初のレベルもまだ怪しいものでございました。

しかし、彼は本当に優しくて我慢強い人です。
普通の人なら切れてしまうところを、何年もわたくしのバカな発言を聴き続けてくださいました。
先生は日本語が全く分からないし、お互いに英語は得意ではないため、とにかくわたくしが中国語で説明するしかないのです。
今でこそ笑い話ですが、わたくしが言いたいことを言えなかったときには、はっきり言って連想ゲーム状態。

あるときブランドの「希釈化(dilution)」「汚染化(pollution)」ということが言いたかったのに、専門用語が思い出せず、そこで思い出したのが…「シャネル」がラブホテルの名称として無断で使用された事件。

しかし、「ラブホテル」って中国語で何ていうのということが分からず余計に迷路に入り込んでしまったわたくしでありました。

かろうじて口から出たのが、
「シャネルという著名なブランドがあるでしょう、それをね、関係ない第三者が無断で別のことに使用しました。で、その別のものっていうのがあるお店の名前なんです。そのお店は何をしているかというと…えっと、えっと男性がよくいくお店です!」

せんせい:「それはお酒を飲むとところなの?」
わたくし:「いえ、飲み屋さんではなくて、女性のいるところです」
せんせい:「あぁ、ただの飲み屋ではなくて綺麗なお姉さんがお酒に付き合ってくれるんだな」
わたくし:「いえ、だから飲み食いに関係なくて、裸の女性がいるんです」
せんせい:「おー、やっと分かったぞ、ポルノに関係あるんだな」
わたくし:「(ちょっと違うけど、まぁ、だいたい同じだろう)そうです、そうです!」
せんせい:「つまり、有名ブランドを勝手にポルノDVD屋の名前に使って、ブランド識別力を弱めたり、汚したりしたんだ」
わたくし:「そうです(^^)/~~~」

今、思いだしてみると「男性がよくいくところ」と言ったので、このような回答になったのは妥当ではあります。

こういうこともありました。やはり商標権侵害事件を話そうとした際に、パチンコという単語が出てまいりました。
そもそも、中国では博打は違法だから、ちまたでこんな単語を見たことないわ…

わたくし:「これは博打です。多分、中国大陸では違法でしょう。」
せんせい:「推測してみるから言ってみなさい」
わたくし:「小さな玉がいっぱいあって、穴に落ちると、更にたくさんの玉が出ます。昔は自分で打ちましたが今はコンピュータでコントロールするらしいです」
せんせい:「パチンコだ」
わたくし:「え?違法だからやったことないのに、どうしてわたくしが言っていることと先生の推測が正しいと断言できるんですか?」
せんせい:「香港で実物を見たし、日本のドラマに出ていた。多分、間違いない!」
わたくし:「そうなんですか…香港にはあるんだ~」
せんせい:「いいから、続けて商標権侵害事件の話をしなさい(^^;」

わたくしが変な単語ばかり先生に言わせようとしているのではなくて、日本の事件に変なものがいっぱい出てくるからいけないんですよ。

弊所の弁護士さんは、まじめに普通の質問をされるだけで、わたくしに連想ゲームをさせることはありません。

わたくしに付き合ってくれた恩師に比べれば、普通の疑問に普通に回答するだけで「疲れた」とは思っていけないですね。
中国人は勤勉で忍耐強いと思います。