12月
2008

日系企業中国人スタッフ知的財産権研修会

2008年はわたくしにとって「はじめて」のことばかりで、あっという間にすぎてしまったような気がします。
この2008年度、最後の大仕事が「日系企業中国人スタッフ知的財産権研修会」のセミナー講師でした。
しかも、「中国語」で話してくれとの要請です。
題して「日常業務において注意すべき著作権問題」
実は、中国語で講義をするのは初めてでした。
これまでに長く中国語で専門の話をしたのは博士論文の口頭試問くらいでしょうか。

数週間前まで、計算の苦手なわたくしは90分(大学のひとコマくらい)の持ち時間だと勘違いしていて、最近になって、仲のいい弁護士が企画書を見て、「これ持ち時間は75分だよ」と教えてくれました(汗)。

JETRO主催のこのセミナーは、もともと、わたくしの職場である北京天達律師事務所の弁護士に打診してきたものなのですが、あいにく弁護士は忙しくパートナー弁護士が「テーマが著作権だし、参加者は中国人の若いスタッフだから、あなたに向いているかも。いい機会だからやってみない?」とふってくださった有難いお仕事であります。

当初、JETROからいただいた企画書には50名以内の参加者、7割くらいは日本語も分かるスタッフだよと聞いていたのですが、当日は参加者が90余名にもなっていました…
実際、日本語のわかる参加者が何人いらっしゃったのか存じませんが、わたくしが使用する言語はいずれにせよ中国語にはかわりありません。

最終的には開き直って「自分は弁護士じゃないんだし、自分は会社員ではないけど、ある組織の一従業員として、むしろ皆さんとあまり変わらない立場で仕事をしていますよ、そんなわたくしが、ぶつかる著作権問題って、結構、皆さんと同じじゃないでしょうかね」というスタンスでしゃべりました。

やはり残念なのは母語じゃないので、つい、原稿を見てしまうのですよ…
PPTだけを見ながら、アドリブなんかも言える講師に憧れます。
うちのパートナーのZ弁護士なら、母語ではない日本語でもすらすら喋り、セミナーの一つや二つこなします。
そうなれるのはいつのことやら。

思ったより質問が出てきてビックリしました。
やはり、皆、職務著作に興味津津のようです。
日本人より転職が激しいですから、そこらへんをきっちりさせて、新しい職場でも前の著作物を使えるといいなと思うのでしょうね。
実務だとかなり判断が難しいケースもあるので、そういう場合、やはり最初にきちんと契約書をみておく必要があるのでしょうね。

また、著作物の修正についての質問は、本当に深く考える価値のある問題です。
著作権を譲り受けても、著作者人格権は人格権ですから譲りようがありません。
いくら譲渡契約と修正権の許諾契約書で、ある程度の修正等を認める許諾を得ていても、実際、原作の本質を覆すような修正をしたらやはり争いになると思いますので、そこらへん、著作権問題って非常に複雑で、聴衆もそこらへん、気になるらしく、そういう答えに窮する質問されるんですよねぇ。

「いい質問ですね」って思わず言ってしまいました。

特に具体的な事例に関する質問になると、実務はやはり、わたくしは弁護士ではないし、版権局の職員でもないので、一緒に来てくれた弊所のG弁護士にちょっと助けてもらいました。

もっと中国語も専門も勉強しないとなぁ、と来年への決意を新たにしました。
次はもっと聴衆を楽しませてあげないとね。
そのためには、やはり母語レベルの中国語が必要でしょうね(がんばれ>自分、です。)

セミナーの写真