10月
2008

漢字の罠

中国人とのコミュニケーションで日本人が陥りやすい罠の一つに「同じ漢字を使っていることの安心感」があると思います。

例えば、商談でAということで合意したつもりで、きちんと覚書を作成して双方が署名までしたのに、次のステップで提示された契約草案の内容はAとは程遠い内容だった、とかいうことが現実にあります。

つまり、交渉時にはお互いに見解が一致していたはずだと思うのですが、中国法上の専門用語を知らなかった故に、中国語・日本語でそれぞれ作成された覚書にはA(日本語の漢字そのままの表現)に合意すると中国語と日本語で書かれていても、別の中国人が見たら、どうとでも取れる曖昧な内容でしかなかったという可能性が考えられます。

意地悪な考え方をすれば、相手方はもしかするとそのことに気づいていたけど、自己に有利なように黙っていた可能性もあります。

「中国語と日本語の解釈に相違がある場合、XX語を基準とする」としておけばよかったのでしょう。

ちなみに「日本語版と中国語版は完全に一致し、同等の効力を有する」とした文書で、法的には意味が全然違うよ、という文書を見たこともあります(訳者もチェッカーも中国語と日本語を知っていても法律を知らなかったのでしょう)。

確かに中国語ができない人でも中国の新聞を読んだらおおよその意味は分かるし、筆談で簡単なコミュニケーションはとれるので、漢字は便利ではありますが意味がいつも同じとは限らないし、中国人は同じアジア人で見た目も似ているので、日本人と同じようなモノの考え方をするような錯覚に陥ってしまうのでしょうね。

わたくしが個人的に思うには、中国の場合、個人的なつながりがあってよほど信用できる相手でない限り、口頭の約束は後で証明のしようがないので、結局は約束していないことと同じなのですよね。
紙に動かぬ証拠を残さなかった自分が悪い(^^;
逆によほど信用できる相手であれば、紙に書いてあることとは関係なしに、後でどうとでもなるような気がします。

中国人は欧米人と同じくらい違うと思っておいた方が、誤解は少ないのでしょうね。